Génération de roses

第7回 伝説の店:トムズサンドイッチ

蜂谷雅彦 カマクライフ

代官山のヒルサイドテラスで惜しまれつつ46年の幕を閉じた、あの伝説のトムスサンドイッチが、尾道で翌年再開されてから早3年。今年で50周年を迎えました。

コロナ前に忽然と代官山から姿を消したのは、奇遇にも自分が鎌倉へ越した、2019年春でした。

20代の時は緊張しながら時々覗かせてもらう程度でしたが、イタリアから帰国後は、愛犬タローと毎週末のように通って、あっという間に17年が過ぎていました。

彼らが去って1年後、尾道で店を復活するという手紙を突然いただいた時はただただ驚愕でした。そして時期はコロナ禍真っ只中でした。

伝説のトムズサンドイッチは代官山のヒルサイドテラスという立地にありながら、窓からは旧朝倉邸の庭の雑木林を借景でき、自然光が差し込む贅沢さ。トムさん始め親子3代で切り盛りしている姿はその辺りでは珍しい風景でした。

もちろん、そこで丁寧に作られたサンドイッチは、オリジナルレシピが多く、どれも美味しすぎました。気のおけない会話を楽しみながらもそこで提供されているもの全てが、ホンモノでした。

そんなお店をうるさがたの連中が見逃すわけはありません。数多くの著名人や同業者の方々をはじめ、多くの人を魅了していました。

ようやく去年の暮れに尾道へ会いに行くことができました。

みんな元気そうで、お変わりなく迎えていただきました。
お互いの近況を語り、いつものキャベツベーコンとホットコンビーフのサンドイッチをいつものレモンソーダで流し込みました。

勝手に親戚の家を訪ねたようなノスタルジーにかられた時間でした。

先日また食べたくなって無理言ってお取り寄せしました。

シグネチャーフードの、「ホットコンビーフ」「キャベツベーコン」「ミートローフ」の他にレモンソーダ用のはちみつレモンシロップ、特製濃厚チーズケーキ、ジンジャーシロップ、ザワークラウトに特製マヨネーズにジャムなどなど。

舌が覚えている記憶を一口頬張る毎に懐かしみながら、今の幸せを噛みしめました。

みなさんもそんな思い出のお店ありますか?

 

https://toms-sandwich.shopinfo.jp/

住所:〒722-0035 広島県尾道市土堂1-12-10
電話:0848-38-2273
営業時間:8:00〜15:00(LO.14:30)
定休日:火曜日・水曜日

Author 蜂谷 雅彦(Masahiko Hachiya)
大人のためのコンフォート、ジェンダレス、エイジレスな服を提案する「HACHIYA」デザイナー。
アパレル駐在員として長くイタリアに在住し、帰国後はグッチをはじめとするハイブランドのマーチャンダイジングを手がける。
現在は、デザイナー、ライフスタイルコンサルタントとして活躍しつつ、海を望む鎌倉の家から、サバーバンライフを発信中。

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